Column

サロン開業コラム

理容室・美容室の事業計画の作成方法を徹底解説!事業計画書の重要なポイントや抜けもれなくつくるための注意点も紹介!

理容室・美容室の事業計画の作成方法を徹底解説!事業計画書の重要なポイントや抜けもれなくつくるための注意点も紹介!
理容室や美容室の開業を成功させるために欠かせないのが「事業計画書」です。資金調達や物件選び、スタッフ採用や集客戦略まで、経営に関わる要素を整理して具体的な計画に落とし込むことで、開業準備に抜け漏れがなくなり、理想の理容室・美容室を運営することができます。

本記事では、理容室・美容室の事業計画書を作成する目的から具体的な書き方の流れ、そして抜けもれなくつくるための注意点までを徹底解説します。これから開業を目指す方はもちろん、すでに計画を進めている方もぜひ参考にしてください。

理容室・美容室の事業計画を作る目的

理容室・美容室の事業計画を作る目的 理容室・美容室の事業計画を作る目的
事業計画は、美容室や理容室の開業に向けて、具体的な形にするための実行プランと言えます。自分の考えを「事業計画書」としてまとめることで、金融機関や将来のスタッフ、取引先など第三者に理解してもらうための基盤となります。
ここでは、その主な目的を3つに整理して説明します。

どんな理容室・美容室を作りたいかを自分でもはっきりさせるため

頭の中のアイデアを言葉にして可視化することで、やりたいことが明確になります。計画を文章化すれば、必要な行動が具体的になり、成功の可能性も高まります。
事業計画書を作成する過程そのものが、漠然とした考えを明確なコンセプトや戦略へと整理していく作業なのです。

どんな理容室・美容室にしたいかを人に知ってもらうため

開業には、金融機関、スタッフ、物件オーナー、仕入れ先など多くの協力が欠かせません。事業計画書は「どんなサロンを作りたいのか」を伝えるための有力な資料となり、周囲の信頼を得やすくします。
計画が明確であればあるほど、「この人になら協力したい」と思ってもらえる可能性が高まるでしょう。

理容室・美容室の開業や経営の成功率を高めるため

事業計画書は開業後の経営指針にもなり、計画と実績を照らし合わせて軌道修正することが可能です。準備段階でリスクを洗い出せるため、失敗の確率を下げる効果もあります。
競争が激しい美容業界では、継続的な成長や成功に導くためには技術力のみならず、入念な事業計画を立てて臨むことが欠かせません。
開業前だからこそ、事業計画の作成を徹底することが、その後の成否を大きく左右するといえるでしょう。

理容室・美容室の事業計画の作成方法の流れ

事業計画づくりを始めるために、まずは大きく4つのステップで頭の整理をしていきましょう。

コンセプトを練る

まずは「誰に」「何を」「どのように」提供するのかを明確にし、お店の核となるコンセプトを設計しましょう。
たとえば「働く女性がリラックスできるサロン」や「シニア向けカラー専門店」といったサロンの方向性を示すコンセプトの明確化が不可欠です。競争の激しい市場で生き残るためには、ターゲットの悩みに応える独自の強みで差別化することが不可欠です。明確なコンセプトを設定することで、その後の資金計画やメニュー構成、立地選定の基盤が固まります。

必要資金を考える

次に、開業に必要な資金の計算を行います。敷金・保証金、内装工事、美容機器といった設備資金に加え、開業後しばらくの運転資金を合算して総額を算出します。
小規模サロンであれば数百万円、平均的には1,000万円前後が目安とされ、不足分は自己資金に加え、公的融資や銀行融資、リースやローンなどで調達を検討します。売上見込みや経費を織り込んだ現実的で返済可能な計画を示すことで、金融機関に対する説得力が高まります。

計画書の必要項目を知る

事業計画書には、開業動機やターゲット・コンセプト、提供するメニューと価格帯、立地の選定理由、競合分析と差別化戦略、セールスポイント、スタッフ計画、集客施策、そして売上計画・収支予測までを具体的に盛り込みます。
網羅的で分かりやすい事業計画書は、自分自身の経営の羅針盤であると同時に、金融機関や将来のスタッフ、取引先に対しても強力な説明資料となります。

参考:開業に便利なテンプレート集

出店候補地をイメージする

出店候補地をイメージしましょう。ターゲットに合った地域を選び、人口構成や年齢層、競合店舗の数や客層、駅からの距離や視認性などを商圏調査によって検証します。賃料や物件の広さだけでなく、「その立地で勝てる理由」をデータで裏付けることが重要です。
なお、ここまでのステップは開業準備のあくまで概要に過ぎません。物件契約や内装工事、各種手続き、集客準備など全体の流れについては、タカラベルモントの「開業までの流れ」もぜひ参考にしてください。

参考:開業までの流れ

理容室・美容室の事業計画書で書くべき重要なポイント

開業の動機

「開業の動機」は事業計画書の冒頭に位置づけられる最も重要な要素です。単なる独立願望にとどまらず、これまでの経験やスキル、実績、得意分野、さらに顧客から感じ取ったニーズや業界課題に対する問題意識を踏まえ、「何を実現したいのか」を明確に示しましょう。
独立を決意したきっかけとなる具体的な出来事、支援者や既存顧客の存在、立地を選んだ理由にも触れると説得力が増します。

参考:美容室・理容室の創業計画書の創業の動機の書き方!重要ポイントを紹介します!

ターゲット

次に、「誰に来てほしい店か」を具体化します。年齢や性別、職業、ライフスタイル、悩みなどを踏み込んで描き、「なぜその層を選ぶのか」を市場調査とあわせて説明することが重要です。
例えば「カラーによるダメージに悩む50代女性」や「仕事帰りのビジネスパーソン」といった具体像です。ターゲットはコンセプト、メニュー、立地、集客戦略に関わってくるため、顧客が求める体験や解決したい不満とセットで記載し、一貫性を持たせましょう。

メニューの構成

カット・カラー・パーマといった基本メニューに加え、トリートメントやスパ、物販収入などを整理しましょう。ただ羅列するのではなく、「髪質改善特化」「男性向けグルーミング」「オーガニックカラー」といった差別化要素を打ち出し、どのターゲットに響くのかを明示するとなおよいでしょう。
価格設定はサロンのポジションを示す重要な要素です。地域相場と比較し、高品質志向なのか手頃な価格路線なのかを明らかにしつつ、技術力や時間短縮、体験価値といった価格以外の付加価値で選ばれる理由も添えると効果的です。

参考:美容室のメニューを作る際の考え方のポイント!メニューの重要性や注意点を解説します!

店舗立地

立地はサロンの成否を大きく左右します。ターゲットと合致するエリアを選定し、その理由を説明しましょう。人口動態、競合店舗数、通行量や視認性など商圏調査の結果を要約し、「この場所で成功できる」根拠を提示できるのが理想的な状態です。
路面店か、階数、駐車場の有無、駅からの距離や家賃水準など物件の特徴にも触れ、売上に対して家賃が妥当であることを示すと、より現実的な計画になります。

参考:商圏分析

競合分析

商圏内でターゲットが重なる競合店舗を抽出し、価格帯・サービス内容・客層・評判を比較します。競合の強み・弱みを把握し、「同じ顧客にサービスを提供するが、当店は◯◯が違う」と明確に言語化できるようにしましょう。
例えば「競合Aは、豊富なメニュー構成で幅広い客層に長年支持されている。当店は髪質改善とスパメニューに特化し、ダメージに悩む忙しい女性をターゲットに、時短施術とゆったりできる空間で差別化する」といった形です。市場規模や店舗数といった客観的なデータも加えると、説得力が増すでしょう。

セールスポイント

「選ばれる理由」は端的にまとめて示しましょう。例えば「丁寧なカウンセリングと提案力」「ヘッドスパなど付加価値」「子連れでも安心して来店できるお店」などが挙げられます。
各ポイントは「誰のどんな悩みを解決するのか」と結びつけて記載することが大切です。価格以外の魅力を強調することで、他店との差別化が伝わる内容に仕上がります。

スタッフ構成

開業時の人員体制(役割・人数・雇用形態)は明確に記載しましょう。美容室は人件費の割合が大きいため、成長軌道に対する必要な人員数を、時間軸で段階的に組み立てて記載しましょう。
さらに、将来の人材育成や採用計画、労務方針(研修制度・評価制度・働きやすい環境づくり)に触れることで、計画に厚みが出ます。
将来にわたって自分1人のサロン構想でも、開業1年後、3年後、その先にはサロンをどう成長させたいか、自分はどうありたいかといった将来像の明確化もこの項目に入ってきます。

集客

開業前後の認知拡大や継続的な集客は、オフラインとオンラインの両面から設計しましょう。チラシ配布や地域誌への掲載、挨拶回りや紹介カードなどに加え、InstagramなどのSNS、サロン検索サイト、Googleビジネスプロフィールの活用も効果的です。
ターゲットの行動特性に合わせた媒体を選び、投稿頻度やクーポンの活用方針、紹介制度、広告費の割合など、運用ルールやスケジュールを具体的に定めておきましょう。

コンセプト

サロンの存在意義を一言で表す「軸」を設定します。ターゲットを絞り込み、自身の想いや将来像を言葉にまとめるのが理想です。
このコンセプトがメニュー、内装、教育方針、集客戦略に一貫して反映されることで、事業計画全体に統一感が生まれます。

売上計画

売上は「客数×客単価」を基本に算出します。客単価や来店数、営業日数から月次・年次の売上を計算し、メニュー別の内訳や新規・リピーターの推移、キャンペーンによる効果を時系列で補足しましょう。
さらに、家賃・人件費・材料費などを差し引いた利益見通し、損益分岐点や黒字転換の時期、資金繰りや返済計画まで盛り込むことが必要です。数値は楽観的になりすぎず、現実的かつ根拠のある内容に仕上げることが重要です。

理容室・美容室の事業計画で失敗しないための注意点

理容室・美容室の事業計画で失敗しないための注意点 理容室・美容室の事業計画で失敗しないための注意点

最初にコンセプトを明確にする

お店のコンセプトは、事業計画の土台となる重要な要素です。最初にしっかりと固めておけば、サービスの方向性やターゲット、価格帯、内装、採用方針まで一貫性を持って決定でき、競合との差別化もスムーズに行えます。
逆に曖昧なままでは「どんなお店なのか」が伝わらず、価格競争に巻き込まれたり、スタッフによってサービスの質にばらつきが出たりするリスクがあります。市場調査を踏まえつつ、広げすぎず狭めすぎない範囲で自店ならではの強みを定義し、店舗づくり全体に反映させましょう。

時系列に沿って売上見込みを作成する

売上予測は時間軸ごとに立てることがポイントです。
一日単位、一週間単位、一か月単位、一年間単位といった時間軸で見込みを立てる事で、成長の軌道を数値で測れるとともに、無理のない計画かをチェックし、より現実的な見込みを立てることができます。
売上は「客数×客単価」を基本に、席数や施術時間、回転率、営業時間、地域の客層や競合状況、集客施策の規模を踏まえて積み上げて算出しましょう。

必要な資金を少なく見積もりすぎない

必要資金を甘く見積もることは大きなリスクにつながります。甘く見積もった際に、予期せぬ出費や計算外の支出が重なってしまい、オープン直後から運転資金が不足してしまうケースも少なくありません。
初期投資に加え、家賃・光熱費・人件費・広告費・消耗品・システム利用料など、開業後に継続的に発生する固定費や変動費も見込んでおく必要があります。さらに半年から1年程度は利益が出なくても運営できる資金を確保しておくと安心です。融資を利用する場合も、返済計画を無理なく立てることが重要です。

参考:美容室・理容室の開業資金どう組み立てる?自己資金はいくら必要?必要資金や内訳を解説!

計画書は定期的に見直して修正する

事業計画は一度作ったら終わりではなく、常に見直しと修正を重ねていく必要があります。市場環境や競合状況、流行の変化や自店の成長に合わせて、四半期や年単位でKPI(最終目標を達成するための重要業績評価指標)と実績を照合し、目標や価格設定、人員計画、広告予算を見直しましょう。
集客が思うように進まなければ媒体や施策を変更し、業績が好調であれば設備投資や人員増強を前倒しにするといった柔軟な対応が求められます。常に最新の状態にアップデートし、実際の経営に役立てていきましょう。

事業計画書が完成したらチェックしたいこと

事業計画書が完成したらチェックしたいこと 事業計画書が完成したらチェックしたいこと

計画書が具体的で根拠ある内容になっているか

事業計画書では、具体性と根拠が何より重要です。「誰に」「何を」「どうやって」を明確に示し、売上や利益の数値には必ず裏付けを持たせましょう。
政府や自治体の統計データ、業界レポート、商圏の人口や年齢構成、競合の価格帯や口コミといった客観的な情報を根拠として示せば、計画全体の説得力が高まります。
実行計画は「頑張る」ではなく、「月◯回のポスティング」「週◯回のSNS更新」「クーポン◯件の掲載」といった具体的な行動単位で記載することが大切です。売上予測も「客単価×来店数×営業日」といった形で算出すると、読み手にも理解されやすくなります。

計画に無理がないか

また、過度に楽観的な前提や非現実的な想定が含まれていないかも必ず確認しましょう。たとえば「毎月右肩上がりの成長」や「広告を一切使わず口コミだけで満席になる」といった想定は本当に実現可能か、厳しく検証する必要があるでしょう。
売上が計画を下回った場合に備えて、コスト削減の方法や販促強化の手順、追加資金の調達手段などをあらかじめ準備しておくことが安心につながります。

理容室・美容室の開業準備ならタカラベルモントに相談を!

理容室・美容室の開業支援ならタカラベルモント! 理容室・美容室の開業支援ならタカラベルモント!
理容室・美容室の開業準備は物件選びから事業計画作成から資金調達、内装や設備導入まで多岐にわたり、専門的なノウハウが求められます。
タカラベルモントは理容室・美容室の開業支援に特化し、全国各地で多くの開業を成功させてきた実績があります。
安心して開業準備を進めたい方は、ぜひタカラベルモントに相談してください。

まとめ

理容室・美容室の事業計画は、お店を成功させるために欠かせない大切な計画です。
コンセプトやターゲットを明確にし、売上予測や収支計画を現実的に設定することが成功のカギとなります。また、競合との差別化や具体的な集客方法も忘れずに盛り込みましょう。
事業計画書を作成する際は無理のない資金計画を立て、融資審査の基準をクリアできる内容にすることも重要です。
計画を定期的に見直しながら、安定した理容室・美容室経営を目指しましょう。
タカラベルモント株式会社 八島 幸司

この記事の監修者

タカラベルモント株式会社 理美容サロン開業支援担当
八島 幸司

理美容機器や化粧品の営業を経て、現在はサロンの開業支援に従事。
主に東日本エリアで、多くの理美容サロンの開業をサポートしている。

美容室・理容室開業をお考えの方はお気軽にご相談ください!