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サロン開業コラム

理容室・美容室における業務委託とは?雇用との違いやメリット・デメリット、契約のポイントまでを解説!

理容室・美容室における業務委託とは?雇用との違いやメリット・デメリット、契約のポイントまでを解説!
近年、理容室・美容室業界では、新しい働き方のひとつとして業務委託という契約形態が注目を集めています。サロンのオーナーにとっては人材確保の柔軟性が高まり、理容師・美容師にとっては自由度の高い働き方が可能となる一方、契約書の確認や税金・保険の手続きなど、注意すべき点も存在します。
本記事では、理容室・美容室における業務委託の基本知識から、メリット・デメリット、契約時の注意点や報酬体系、トラブルの対処法までをわかりやすくまとめ皆さまに役立つ情報を提供します。

理容室・美容室の業務委託の基本知識

理容室・美容室の業務委託の基本知識 理容室・美容室の業務委託の基本知識
まずは業務委託という契約形態の概要を理解し、雇用契約や面貸しとの違いを整理しましょう。
理容室・美容室における業務委託とは、サロン経営者(オーナー)が個人事業主として活動する理容師・美容師に施術を中心とした業務を委託する契約形態を指します。雇用契約と異なり、サロン経営側と理容師・美容師が対等な立場で契約を結ぶため、働き方や収入形態に独自の特徴があります。

業務委託の定義と特徴

業務委託とは、理容室・美容室のオーナーと個人事業主である理容師・美容師が対等な立場で契約を結び、サロン内で施術を中心とした、契約業務を行う形態を指します。契約を締結した理容師・美容師は、契約内容に基づいて自身のスケジュールや働く日数などを比較的自由に設定できる点が特徴です。

業務委託の仕組み

業務委託では、サロンが業務を委託する側、理容師・美容師が業務を受託する側という関係になります。具体的には、サロン側が設備を提供し、個人事業主である理容師・美容師が施術サービスを行い、その売上に対して一定の歩合などで報酬を受け取る形が多く見られます。サロンが集客をサポートする場合や、顧客管理を施術者自身で行う場合など、契約ごとに運用スタイルは異なります。

雇用契約(正社員・パートなど)との違い

雇用契約の場合、理容師・美容師はサロンの被雇用者として働くため、社会保険や労働基準法の保護を受けやすいという特徴があります。一方、業務委託では個人事業主としての労働になるため、社会保険への加入は自己管理が基本となり、有給休暇や残業代といった制度も適用されません。つまり、業務委託か雇用契約かによって、待遇面や法的保護の範囲が大きく異なるのです。
また、雇用契約では給与が固定されている場合が多いのに対し、業務委託は売上に応じて変動する報酬形態が主流です。

面貸しとの違い

面貸しは、サロンのイスやスペースなど必要な設備だけを借りて、スタイリスト側が集客・施術を行う働き方が主流です。顧客の管理や予約対応を基本的に自分で行うため、集客力やブランディング力が求められる一方、自分のペースで施術を進められる自由度の高さが魅力といえます。対して業務委託では、サロン側が顧客を獲得したりスタッフとの連携を行ったりするケースが多く、サロンとの協力関係を築くことが多いです。

理容室・美容室で業務委託を導入するメリット・デメリット

オーナーにとってのメリット:人件費の変動費化・柔軟な人材確保

業務委託では、売上に応じて歩合制で報酬を支払うという契約の場合が多く、毎月の給与費用を固定的に負担しなくても済むという大きなメリットがあります。これにより、売上の低い月には人件費相当の経費(外注工賃)も下がるといった、売上と経費のバランスを取りながら、経営のリスクを分散できるのがサロンオーナーにとっての魅力です。また、繁忙期だけ多めに施術スタッフを確保するといった柔軟な運用を視野に入れることも可能です。
さらに、多様なスキルや経験を持ったスタイリストが入ることで店舗のサービスを拡充できる点も見逃せません。個人事業主としてスキルを磨いているクリエイティブな人材を迎えることで、メニュー開発や接客スタイルの幅が広がり、新しい顧客層の獲得にもつながります。こうしたメリットが、現在の理容室・美容室における業務委託の普及を後押ししている要因の一つといえます。

サロン全体が得られるメリット:新しい働き方の推進

業務委託を導入することで、サロンに新たな魅力や活気が生まれ、多様な働き方を求める人材からの関心を集めやすくなります。これまで正社員という枠組みにとらわれず活躍していた優秀な人材を迎え入れるチャンスが広がり、結果としてサロンと利用者の双方にとってメリットのある関係性を築きやすくなります。自由な働き方を望む人と、安定を重視する人の両方を受け入れられる柔軟な体制が整うことで、サロン全体のブランド力の向上にもつながります。

デメリット:教育や品質管理の難しさ

業務委託契約ではスタッフがそれぞれ独立した個人事業主となるため、店舗方針やサービスのクオリティを統一しにくい面があります。サロン運営上の課題に直面した際には、オーナーが一方的に指示を出す形ではなく、契約内容に基づいた業務を前提に、対等な立場として話し合い、理解を得ることが求められるのです。そのため、マニュアルづくりや研修制度の活用においては、業務委託契約ならではの運用が必要になってきます。
また、業務委託スタッフが契約を打ち切ることもあり得ます。店舗スタッフの一体感を醸成する仕組みづくりや、コミュニケーションを密にする体制を整えるなど、ブランディングと信用維持にはオーナーの工夫が欠かせません。こうした面を軽視すると、サービスのバラつきや顧客不満につながるリスクが高まります。

業務委託サロンの報酬体系と注意点

業務委託サロンの報酬体系と注意点 業務委託サロンの報酬体系と注意点
報酬制度は完全歩合制や固定報酬制+歩合など多様で、詳細な契約内容の作成と双方の十分な確認が重要になります。
業務委託の報酬体系は実にさまざまであり、サロンのコンセプトや経営方針に左右されます。

完全歩合制と固定支払制の違い

完全歩合制では、施術者が上げた売上に対して数十パーセントの報酬が支払われるのが一般的です。歩合率は40%〜60%程度が多く、サロンの集客力や地域特性によっても幅があります。高い歩合率が設定されているサロンであれば、人気スタイリストは大きな収入を得るチャンスがある一方、売上が少ない月には安定感に欠けるというリスクがあります。
一方、固定報酬制をベースにしているサロンでは、一定額を契約しながら歩合を組み合わせる形です。完全歩合制ほど爆発的な収入機会はないかもしれませんが、施術が少ないときでも生活を維持しやすいというメリットがあります。

報酬トラブルを防ぐためのポイント

報酬トラブルは、契約書の不備や双方の認識違いが原因となることが多いです。いつ、どのように報酬が計算され、支払われるのかを契約書に明記しておくことで、後々の争いを防げます。さらに、盆や正月などの繁忙期には歩合率を上げる、あるいは一定額を契約するといった条件を事前に決めておくことも有効です。書面でルールを明確にし合意しておけば、後から予想外のトラブルが起こりにくくなります。

契約書のチェックポイント

業務委託契約を結ぶ際は、報酬や契約期間、業務範囲などの重要事項が曖昧にならないように注意が必要です。特に報酬の計算方法や支払い時期、トラブルが起きた場合の対応策などは書面での取り決めが必須となります。責任範囲を再確認し、納得できる条件かどうかしっかり確かめましょう。
また、契約書には解約条件や契約満了時の手続きについても明確にしておくことが重要です。予期せぬ事情で契約を打ち切る必要が生じた場合、どのような金銭的負担や引継ぎ作業が発生するのか確認しておくと安心です。
なお、2024年11月に施行された「フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」では、業務委託契約において取引条件の明示や報酬の適正な支払い期限など、委託元となるサロン側にも一定の義務が課されています。契約書を作成する際は、こうした法令に則った内容となっているかどうかも確認することが重要です。
疑問点がある場合は、司法書士、行政書士や社労士などの専門家に相談することで、より正確なアドバイスを得られます。

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まとめ

業務委託は、理容師・美容師、オーナー双方にとって大きなメリットをもたらす一方、リスク回避のための対策も必須です。契約書や報酬体系を丁寧に確認し、納得のいく業務委託形態を選択しましょう。
理容室・美容室における業務委託は、経営の柔軟性を確保しやすいというメリットを享受できる反面、教育や品質管理における難しさも抱えることになります。双方が納得のいく関係を築くためには、契約書の細部に至るまでしっかりと確認し、相互理解を深めることが欠かせません。
業務委託をスムーズに進めるためには、相手に合わせたコミュニケーションや明快な契約条件が重要となるでしょう。

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