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サロン開業コラム

理容室・美容室開業における保健所対応ガイド

理容室・美容室開業における保健所対応ガイド
理容室・美容室の開業には、保健所の手続きが不可欠です。厳密な規定があるため、事前に必要書類や施設基準をしっかり把握することが大切になります。特に店舗の衛生面を管理するうえで、保健所との連携は欠かせません。
開業前には保健所での事前相談から、書類提出、立入検査の準備、そして営業開始後の報告事項まで、多岐にわたるステップを踏む必要があります。余裕をもった計画を立てることで、検査日程の調整や書類不備による混乱を防げます。 保健所手続きは自治体によって多少異なるため、早めの情報収集が成功のカギになります。
本記事では、具体的な手続きの流れや必要書類、設備要件、そして保健所への対応を解説していきます。開業をスムーズに進めるためのポイントもまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

なぜ理容室・美容室の開業に保健所手続きが必要なのか

なぜ理容室・美容室の開業に保健所手続きが必要なのか なぜ理容室・美容室の開業に保健所手続きが必要なのか
理容室や美容室は公共性を伴う事業であるため、法律に基づき保健所への手続きが義務付けられています。
理容室・美容室の施術は、第三者の身体に直接触れる行為が多く含まれます。このため、衛生状態や設備がきちんと整備されていないと、利用者の健康被害に直結するリスクがあります。保健所は各種法令や条例に基づき、開業前後のルールを厳格に管理する役割を担っています。

理容師法・美容師法と保健所の役割

理容師法や美容師法は、理容室・美容室事業の適正な運営と衛生水準の確保を目的として制定されています。保健所は、これらの法律に基づいて店舗の設計や設備、消毒方法などが基準を満たしているかをチェックします。法律上の要件を満たす施設を確保し、利用者に安全なサービスを提供するためにも、保健所の指導を受けながら開業準備を進めることが重要です。

保健所確認を怠った場合のリスク

保健所確認を経ずに店舗を開業すると、無許可営業として処分対象となる可能性があります。罰則や営業停止のリスクに加え、信頼性を大きく損なうことにもなりかねません。一度違反を指摘されると、後日修正して再度検査を受ける手間や費用が発生するケースもあるため、開業前に必ず保健所の手続きを踏むようにしましょう。

理容室・美容室開業時の保健所手続きの流れ

理容室・美容室開業時の保健所手続きの流れ 理容室・美容室開業時の保健所手続きの流れ
実際に開業するまでにどのような手続きを踏む必要があるのか、順序立てて整理します。
保健所手続きは、事前相談から始まり、設計完了後に開設届を提出し、立入検査を受けるという流れになります。 自治体によって細かな違いがあるため、事前に確認することが大切です。書類不備・設備不備などを避けるためには、十分な期間を設けてスケジュールを組むのがおすすめです。

1. 事前相談の活用

開業予定地を管轄する保健所に足を運び、設計図や平面図をもとに店舗の構造や設備基準を確認するのが事前相談です。早い段階で施設基準を把握しておくことにより、後の立入検査で指摘されるリスクを大幅に低減できます。店舗設計を進めている段階で保健所とコミュニケーションを取ることで、設備の配置や消毒設備の設置場所などを最適化しやすくなります。

相談するために必要な資料と最適タイミング

保健所で事前相談を受ける際は、店舗の平面図や構造設備概要が分かる資料を持参すると話がスムーズに進みます。修正の融通が効きやすくなるため、ある程度設計が進んだ段階のタイミングが理想的です。保健所から求められる補足資料も把握できるため、時間的ロスを最小限に抑えられるメリットがあります。

2. 開設届の提出

設計や改装について一定の目処がたった段階で、保健所に開設届を提出します。開設届には、店舗の基本情報や施術内容、設備の概要などを詳しく記載する必要があります。必要書類をすべて揃えてから提出することで、二度手間を防ぎ、スムーズに検査日程を設定してもらえます。

提出期限、提出先、検査料金の確認

一般的に、営業開始予定日の10~14日前までに開設届を提出することが推奨されます。 提出先は店舗所在地を管轄する保健所で、開設届を提出した際に立入検査の日程を決定することが多いです。検査料金は自治体によって金額が異なり、2万円前後かかることが多いので、必ず事前に確認しておきましょう。

3. 立入検査の実施と対応

保健所の担当者が実際に店舗を訪れ、設備の構造や衛生状況を確認するのが立入検査です。施術スペースや消毒設備、換気システムなどが基準を満たしているかどうか、細かいチェックが行われます。事前に保健所の基準を再度確認し、設備や必要書類の整合性を整えておくと、検査をスムーズにクリアできるでしょう。

検査日程の調整と指摘事例の回避方法

検査日程は、開業までのスケジュールを見ながら保健所と調整します。検査当日によくある指摘として、消毒に必要な薬液が足りていない、構造設備の図面と実際が異なるなどのケースが挙げられます。これを回避するには、事前にチェックリストを作成し、抜け漏れがないように計画を立てることが大切です。 

4. 確認書の発行と受け取り

立入検査に合格した後は、保健所から確認書や許可証の発行を受け、これを受け取ることで正式に営業を始めることができます。地域によっては当日もしくは数日後に書類が交付される場合があるので、スケジュールを把握しておきましょう。確認書は店舗内で保管し、一連の保健所手続き完了後も定期的に内容を見直すことが望ましいです。

保健所への届出に必要な書類一覧

開業手続きには多くの書類が必要となります。基本的な書類から追加提出が求められるものまで、整理して確認しましょう。
保健所への届出は、複数の書類をそろえて提出する必要があります。書類によっては書き方や署名方法が定まっているため、小さな間違いが審査の遅れにつながることもあるでしょう。各種書類を計画的に作成しておき、提出前に必ずチェックをする習慣をつけておくとスムーズに進められます。

基本的な必要書類

理容室・美容室開設にあたっては、開設届や構造設備概要書などの基本書類が求められます。これらは店舗の規模や設備を正確に把握するために用いられ、保健所が衛生管理の基準を判断する重要な資料です。書類に記入する内容は詳しくチェックされるので、誤字脱字などの細かい点にも気を配りましょう。
開設届
開設届は、店舗の所在地や名称、開業予定日などを記入する最重要書類です。正確な情報を記載しないと、保健所とのスケジュール調整に支障をきたすおそれがあります。必ず管轄保健所の指定様式を利用し、発行元の指示に従って記入・提出しましょう。

構造設備概要書
構造設備概要書は、店舗レイアウトや使用する設備の配置を示す資料です。シンクや椅子、シャンプー台など、どのように配置されるかを具体的に記載しておくことで、保健所が基準に即した設計であるかを判断します。チェック項目が多岐にわたるため、平面図もあわせて用意しておくと審査がスムーズです。

理容師免許証・美容師免許証
開業する人や運営に関わる人が、適切な資格を持っているかどうかを証明するために必要な書類です。複数の有資格者がいる場合は、それぞれの免許をきちんと揃えておくことが重要です。

従事する従業員が2名以上いる場合、管理理容師、管理美容師の講習会修了証も必要になります。

特定条件に応じた追加書類

基本的な書類に加え、店舗の形態や開業者の状況によっては追加書類が求められる場合があります。法人として営業を行う場合や、外国人スタッフが在籍する場合など、状況に応じた提出が必要です。必要書類の多くは自治体のウェブサイトや保健所で案内されているため、あらかじめ確認しましょう。 
法人営業の場合の登記事項証明書
法人で理容室・美容室を開業する場合、登記事項証明書(登記簿謄本)を提出する必要があります。法人名義の正確性や営業内容を保健所が把握するうえで重要な書類です。取得には時間がかかることもあるので、開業準備の初期段階で手配しておくと安心です。

診断書や従業員名簿など必要な資料
スタッフの健康管理状況を示す診断書や、従業員名簿が必要となるケースもあります。特に感染症予防の観点から、一定周期で健康診断を受けるよう義務付けられている地域もあるので注意しましょう。提出する書類は最新の情報を添付し、不備がないよう更新しておくことが大切です。

理容室・美容室開業における設備要件と衛生管理基準

安全かつ清潔に施術を行うためには、設備面と衛生管理基準の両方を充実させる必要があります。
理容室・美容室の施設基準は、利用者に安心して施術を受けてもらううえで欠かせないものです。空間の広さや設備の配置、採光や換気といったさまざまな要件が定められています。これらを適切に設計し、実施していくことで、保健所の検査を円滑にクリアできるだけでなく、利用者の満足度向上にもつながるでしょう。 

保健所基準を満たすための設備要件

理容室・美容室では、施術スペース、洗髪設備、換気設備などの要件が詳細に規定されています。たとえばシャンプー台の設置数や、施術エリアを隔てるための仕切りなどが一例です。こうした基準をクリアしていないと営業許可が下りない可能性があるため、計画段階から設計士や保健所と入念に相談しながら進める必要があります。
施術スペースと必要な床面積
施術に用いるイスの数や配置によって、最低限必要な床面積が決まります。接客の動線を確保しながら安全に作業できるよう、適切な広さを確保しなければなりません。後から大がかりな改修を避けるためにも、早めに保健所の基準を確認しておくことが大切です。

消毒設備の基準と注意点
カット用具やシェービング機器など、施術で使用する器具をしっかり消毒するための設備設置は必須です。消毒用シンクの大きさや薬液の保管場所、使用済み器具と未使用器具の区分など、守るべきポイントが多数存在します。衛生面を軽視すると利用者の信頼を失うだけでなく、保健所の指導対象にもなりますので、消毒作業の流れを十分に検討しておきましょう。

換気・採光・照明基準
快適な室内環境を保つため、換気や採光、照明にも一定の基準があります。施術環境の清潔性を高めるだけでなく、薬剤のにおいがこもらないように換気を徹底するのも大切です。照明については、スタッフが作業しやすく、かつ利用者をリラックスさせる照度を両立する配慮が求められます。

衛生管理のための具体的な手順

設備だけでなく、日常の衛生管理意識をどのように維持するかも重要です。開業当初は清潔を意識していても、時間の経過とともに作業がルーティン化し、手順が疎かになるケースがあります。保健所が指導する衛生基準を常に意識して、スタッフ全員で共有する仕組みづくりを進めましょう。

消毒の徹底方法
理容・美容器具は、使用後にすぐ洗浄・消毒を行うことが基本です。消毒液の濃度や浸漬時間、自然乾燥のタイミングなど、具体的なプロセスを正しく守らなければいけません。感染症の流行時期には、さらに強化された消毒方法が求められるため、常に最新の指針をチェックする心構えが必要です。

衛生管理講習会の受講
法令により、理容師・美容師は定期的に衛生管理に関する講習会の受講が求められる場合があります。講習会では、最新の法律改正や感染症対策を習得し、現場でのマニュアルに反映させることができます。経営者だけでなくスタッフ全員で受講することで、店舗全体の衛生意識を高める効果が得られるでしょう。

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スムーズに開業を進めるためのポイントまとめ

最後に、保健所手続きで失敗しないためのポイントを総括します。綿密な準備と正確な情報収集がスムーズな開業の鍵となるでしょう。
保健所手続きは、店舗の衛生管理や安全基準の確保に直結する重要なプロセスです。事前相談から開設届の提出、立入検査、そして開業後の変更届にいたるまで、充分な準備の上で進めることが大切になります。特に書類の不備や設備基準の不足、検査日時の調整不足などは開業のスケジュールを大きく狂わせる要因となるため、早めに情報を収集し、必要な準備を徹底しましょう。

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