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サロン開業コラム

理容室・美容室のスタッフの採用・教育のポイント!スタッフに選ばれる・働き続けてもらうためのヒントを、データを元に解説します!

理容室・美容室のスタッフの採用・教育のポイント!スタッフに選ばれる・働き続けてもらうためのヒントを、データを元に解説します!
理容室・美容室の経営において、スタッフの採用は大きな課題のひとつです。新規出店や事業拡大を考える際も「人が集まらない」「せっかく採用してもすぐ辞めてしまう」といった悩みは少なくありません。
本記事では、理容室・美容室の採用が難しい背景を整理したうえで、効果的な求人方法や、採用後にスタッフが長く安心して働ける職場づくりのポイントを解説します。ぜひ参考にしてください。

理容室・美容室の採用が難しい理由は?

理容室・美容室の採用が難しい理由は? 理容室・美容室の採用が難しい理由は?

人材不足

理容室・美容室のスタッフ採用は年々難化しています。背景は理容師・美容師人材そのものの不足です。厚生労働省によれば、美容師の有効求人倍率は令和6年度で約5.7倍、全業種平均の約1.23倍を大きく上回りっています。
特に個人経営のサロンほど競争が激しく、「スタッフが見つからない」という声が増えています。

店舗数の増加

理容室・美容室の店舗数の多さも採用難の一因です。美容室は令和4年度時点で約27万店と、コンビニの約5倍。都市部では新規出店が続き、東京都内だけでも前年から1,000店以上増加しています。
選択肢が豊富な求職者は「より自分にあった理容室・美容室を選ぶ」と考えやすくなり、オーナー側は差別化が難しくなります。さらに令和3年度は店舗約27万件に対し従事美容師約56万人で、1店舗あたり平均2人程度。人手不足の店が多く、チェーンは確保できても個人店ではオーナー一人で回す例も珍しくありません。

参考:
令和5年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省
令和4年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省
   

給与や労働条件が悪いと思われている可能性がある

待遇面に対する不安は、応募をためらうきっかけとなり得ます。政府統計ポータルサイトe-Statのデータによると、美容師の平均年収はおおよそ300~380万円で、令和5年の全国平均379.7万円と比較するとやや控えめです。
さらに、理美容師として働き続ける中で、長時間勤務や手荒れ・腰痛などの身体的負担、休憩が取りにくい環境などが障壁として挙げられています。(※タカラベルモント調べ)
また、営業後の練習や片付けによる拘束時間の長さといった点も、理容師・美容師の働き方に対するイメージとして語られることがあります。ワークライフバランスが取りにくいと感じられることから、応募を敬遠されてしまう可能性もあります。

参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

理容室・美容室の求人、どのような方法が効果的?

理容室・美容室の求人、どのような方法が効果的? 理容室・美容室の求人、どのような方法が効果的?
人手不足下で優秀な人材を確保するには、従来の手法に加え多角的なアプローチが不可欠です。オーナーが活用したい主な方法は次の通りです。

理容師・美容師専門の求人サイトで直接アピールしよう

理容師・美容師向けの専門求人サイトに自店の求人情報を掲載することは、最も基本的で効果的な方法の一つです。理美容業界に特化した求人媒体には多くの求職者が集まるため、ターゲット層に直接アプローチできます。
近年では、スタッフ構成や人気メニュー、口コミといった情報まで掲載できるサービスも増えており、サロンの雰囲気をリアルに伝えられるのが特徴です。こうした媒体を活用し、自店の魅力や働く環境を丁寧に打ち出すことで、理美容業界での就職を希望する人材に効果的にアピールすることができます。

SNSやスタッフ紹介で「お店のファン」を集める

スタッフや知人からの紹介によるリファラル採用は、採用コストを抑えられるうえに、ミスマッチが起きにくい方法として有効です。オーナー自身のネットワークから採用につながるケースも少なくありません。
さらに、InstagramやXなどのSNSを活用して日常の様子や求人情報を発信すれば、サロンの雰囲気に共感した人からの応募を期待できます。SNSを使うことで、フォロワーを通じた情報拡散や低コストでの運用が可能になり、求職者との直接的なコミュニケーションも生まれます。
継続的に発信を重ねることで信頼感のあるフォロワーを育て、「このサロンで働きたい」という気持ちにつなげていくことができるでしょう。

お店独自の採用ページや体験入店で安心感を与える

サロンの理念を発信することはとても重要です。特に、入店したサロンでどんなキャリアを描けるのかを明示したキャリア形成の仕組み化を確立することで、長期的なビジョンが描け、働くスタッフの安心感を得られます。
またスタッフの声を写真や動画で発信することで、求職者は働く姿を具体的にイメージできます。これにより応募前の不安やミスマッチを減らし、定着率向上にもつながります。
さらにサロン見学や体験入店を用意すれば、応募のハードルを下げ「安心して働ける」と感じてもらいやすくなり、採用成功率を高められます。

キャリア形成の仕組みに関しては、タカラベルモントのキャリア支援プロジェクトでもサポートしています。ぜひご参考にしてください!
https://salon.tb-id.com/scope/career_top

理容室・美容室の採用成功とスタッフ定着のポイント

理容室・美容室の採用成功とスタッフ定着のポイント 理容室・美容室の採用成功とスタッフ定着のポイント
美容師の有効求人倍率は令和5年度で約5.7倍で、選考を工夫しなければ良い人材を逃しかねません。さらに離職率は1年以内で約30%、3年以内で60%近くというデータもあり、採用プロセスの磨き込みと、長く働ける環境整備の両立が欠かせないでしょう。以下に、応募〜採用までの注意点と定着のポイントをまとめます。

求人票で給与・待遇・雰囲気を具体的に伝える

給与・休日・勤務時間・雇用形態などは正確に記載し、認識ギャップを防ぎましょう。
タカラベルモントの調査によると、離職理由としては、「労働時間が長く、心身ともに負担が多かった」が1位となり、2位に「給料が低い(生活がままならなかった)」3位「土日に休めないから」4位「休日が少ない、思うように休みがとれない」といった労働条件の不一致が挙げられています。
業界の労働環境を改善し、働きやすい・働き続けられるサロンを構築するかが、離職を防止するカギになることが分かります。また、入社前と実際の職場環境のギャップを少なくすることも大切です。

最初から正直で詳細な情報開示を意識し、理念や雰囲気の写真、労働環境、キャリアステップもなるべく提示するようにしましょう。入社前と入社後のキャリアビジョンを含めて、ギャップをなるべく小さくすることが重要です。

応募~面接~採用までを迅速に進め、丁寧に連絡する

連絡の速さが決め手になるケースもあるため、書類選考・面接結果・内定はできるだけ早く、こまめに通知するようにしましょう。
内定先選びで「最も早かったから」を理由にする求職者も多く、スムーズな対応は信頼感を高めます。面接では1日の流れや労働環境、給与条件、教育環境など具体情報を説明し、質問に誠実に回答してミスマッチを減らしましょう。
入社後に、ワークライフバランスを意識しながら、「相談できる場(1 on1)」や「相談できる人」など定期的なコミュニケーション方法などを伝えることで安心した職場選びにもつながります。

スタッフが働き続けたいと思う理容室・美容室にするためのポイント5選

スタッフが働き続けたいと思う理容室・美容室にするためのポイント5選 スタッフが働き続けたいと思う理容室・美容室にするためのポイント5選

ポイント①サロン理念(MVV)の浸透

MVVとは Mission(ミッション)、Vision(ビジョン)、Value(バリュー)の頭文字を略したもので、ミッションとは、サロンの存在意義「何をしなければならないのか」、ビジョンとは、目指す将来像「ありたい姿」、バリューとは、大切にする価値観「どうやるか」を表しています。
しっかりとサロンの方向性を明示し、スタッフへの理解・浸透を図ることがとても重要です。

ポイント②評価基準の明確化

長く働く上では、サロンでの評価も重要です。あいまいな評価基準ではなく、ハード面とソフト面両軸での評価が明確化されていることがポイントとなります。
ほとんどのサロンが、ハード面(売上、再来率、指名数、単価、技術レベル)での評価を軸としていますが、長く働きたいと思ってもらうためには、ソフト面(意欲、責任感、協調性などMVVに沿った行動評価)での評価軸も必須になります。

ポイント③教育制度の整備

スタッフが安心して長く働ける環境をつくるためには、教育・育成制度が充実していることが重要です。
こちらもハード面の技術・知識の教育だけではなく、ソフト面のマインド・言動などの人間力の教育も注目されています。
両軸での教育体制を整備することで、キャリアステップや成長するチャンスの提供にもつながります。

ポイント④キャリア自律の促進

自分のキャリアを自分で考え、選び、行動できるようにサポートできる体制があるかも非常に重要なポイントです。
スタッフ一人ひとりの声に耳を傾け、定期的な個別面談の中で、経営者がスタッフの人生に向き合う環境づくりも「人の定着」につながります。

ポイント⑤多様なキャリアステップの構築

タカラベルモントの調査によると、理美容師4人に1人が「この先の自分の姿が描けない」という不安を抱えています。
このような現状の中、決められたステップだけではなく、新たなキャリアステップの構築もスタッフにとってはサロンを選ぶ大きな決定打となります。

理容室・美容室の開業準備ならタカラベルモントに相談を!

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タカラベルモントは理容室・美容室の開業支援に特化し、全国各地で多くの開業を成功させてきた実績があります。
理容室・美容室の開業準備は、スタッフの採用活動はもちろん、物件選びから資金調達、内装や設備導入まで多岐にわたり、専門的なノウハウが求められます。
安心して開業準備を進めたい方は、ぜひタカラベルモントに相談してください。

まとめ

理容室・美容室の採用を成功させるには、求人方法の工夫だけでなく、応募から採用、さらにはスタッフが長く働き続けられる環境整備まで一貫した取り組みが大切です。
求人情報には具体的な給与や待遇、職場の雰囲気を明確に打ち出し、採用の流れは迅速で丁寧な対応を心がけましょう。また、理容師・美容師が求める働き方に対応した制度や教育体制、スタッフ同士が助け合える雰囲気を整えることが、定着率アップにつながります。
採用や定着についてのお困りごとは、ぜひタカラベルモントまでお気軽にご相談ください。
タカラベルモント株式会社 山本 麻仁

この記事の監修者

タカラベルモント株式会社 理美容サロン開業支援担当
山本 麻仁

理美容機器の営業を経て、現在はサロンの開業支援に従事。
主に東日本エリアで、多くの理美容サロンの開業をサポートしている。

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