スタッフと一緒に成長する、
そんなサロンにしたい
小出 安正 さん / 「dragee」オーナー
スタッフと一緒に成長する、
そんなサロンにしたい
小出 安正 さん / 「dragee」オーナー
小出 安正〈こいで やすまさ〉さん … 新潟県新潟市出身。中学生の頃“かっこいい雰囲気”に憧れ、美容師を目指すように。高校時代には、建築関係のアルバイトを経験。そのほかにも、自身の進路について様々な可能性を探った結果、東京の美容専門学校に進学。卒業後、美容師として渋谷や銀座で16年間勤務したのち、独立。銀座から近く、可能性を感じた馬喰町に、2013年1月drageeをオープンした。2016年9月には日本橋に、2店舗目となるVieo drageeをオープン。2店舗のオーナーとなってからも、美容師としてサロンに立つ時間を何よりも大切にしている。
「いつか店を持ちたい」東京に出てきた頃からずっと思っていました。でも、美容師としてのキャリアを積んで30代になった時、選択肢は独立だけじゃないと思ったんです。そこで、これからの自分の活躍の場について、情報を収集。業務委託という形で美容師を続ける、地元に帰って美容師として働く、それから転職も選択肢の一つでした。その結果、一番やりたいことを実現できそう、と独立を決意。「何ができるか」「何のために・誰のために独立するのか」など、半年くらいかけて考えました。
メインターゲットを30代・40代の働く女性やサロン近隣の住人にしようと決め、候補地を絞り込んでいきました。路面店を選んだのは、地域に根ざして長くやっていきたいという気持ちがあったから。馬喰町は元々、服飾系の問屋街でしたが、最近はマンションが増えて人の流れも変わってきている、その可能性に惹かれたんです。その後、物件の目星をつけた辺りから、タカラベルモントに相談することに。お客様のため、そしてスタッフのためになるようなサロンにしていきたいと考えていたので、プロに相談してしっかりと基礎を築きたかったんです。実際、物件の成約に至るまで、物件のオーナーとのやりとりの部分など、かなり細かく何度も相談に乗ってもらいました。一人だったら途中で断念していたかもしれません。
今のデザインを元々イメージしていたわけではないんです。駅から近くて大きな通りに面していて、しかもガラス張り。この開放感のある物件に出会えたのが大きいですね。セット面は、鏡が動かせるデザインで、机として使うこともできます。「地域に根ざしたい」という僕の気持ちを汲んでいただき、デザイナーさんから提案してもらいました。今後は、近所の人が集まれるようなスペースとしても使いたいですね。根本的に「これまでのサロンと一緒だったら意味がない」と思っているんです。独立するにあたっては、「変わることで何かを失ってもいい」そのくらいの覚悟を持って何事にも臨んでいました。
お客様が必要と感じているものを提供できるように、カウンセリングに力を入れています。その結果、リラックスしたいというニーズや、お客様の髪の悩みに応えるために導入したのが、ヘッドスパやトリートメントメニュー。最近は忙しい人や疲れている人が多いですよね。美容室も、綺麗になりたいという気持ちを叶えるだけではなくて、リフレッシュのための空間になっている印象です。気持ちを切り替えて、また頑張るための癒しの時間というか……。スタッフ全員がスタイリスト目線でお客様に対応できるので、一定のサービス水準が保てています。今いるスタッフがしっかり育ってくれたので、これからはもっと若手を育てて行きたいとも考えているところです。
現在、メンバーの中軸として頑張っている1人は、元々同じ店で働いていたスタッフ。当時は、なかなかデビューのチャンスがもらえず、長年僕のアシスタントをしていました。独立するときに、「新しい店でスタイリストとしてやってみてもいいんじゃない?」と声をかけたんです。僕自身、大きいサロンだからしょうがないと思いながら働いていた部分もありました。ただ、独立を考えたときに、そのままじゃちょっと違うなと思った。今は、個人店で自由にできる環境です。サロンの軸がブレない限りは、スタッフのやりたいことを尊重したいと思っています。やりたいことを持っているスタッフにとって、働きやすい環境であり続けたいです。
大きいサロンではないので、お互いに持ちつ持たれつの関係というか、チームワークが良くないと成り立ちません。スタッフとは、気づいたことをその都度共有できるようにしています。日頃からのすり合わせの積み重ねが、お互いの想いを共有することにつながっているんです。オーナーからのトップダウンではなく、みんなで助け合う形が理想。その形が根付いてきたことも、次のステップとして2店舗目をオープンするに至ったきっかけの一つでした。
drageeが16坪なのに対して、Vieo drageeは20坪。スペースがある分、ヘッドスパのメニューをさらに充実させることができました。店舗のデザインテイストは、1店舗目とはガラリと変え、木がメイン。2つの店舗があまり離れていない場所にあるので、お客様にはお好きな雰囲気のサロンを選んでいただければと思っています。良い意味で、2店舗が競い合っていければいいですよね。
まずは、2店舗目を理想の店にしていくことが目標です。スタッフが成長すること、サロンとしても会社としても成長していくこと、どちらも元々のコンセプト。より充実させていきたいです。ただし、組織が大きくなれば良いわけではなく、小さいからこそできることを大切にしていきたい。スタッフが気持ちよく頑張れて、それに伴ってお客様も増やしていけるサロンにしていきたいです。
今も昔も、一番はお客様と過ごすサロンワークの時間。独立した時には、ゆくゆくは店を人に任せることもあるだろうし、他にやりたいことが増えても構わないと思っていました。でも、2店舗目ができた今、ますます自分の中に占める店の存在が大きくなっているんです。同時に、どんどん楽しくなってきている。心身ともに充実しているというか、上り調子なんでしょうね。サロンワーク以外にもやることは増えましたが、良いバランスでお客様と向き合うことができています。サロンに出られると思うと、休みを削っても出たくなっちゃうんです。オーナーになってみて、僕は今後もオーナー業に専念することはないと感じています。これからも、美容師として邁進していきます。